2020/05/13

歯周病は重度化するにつれて、 全身に危険な影響を及ぼす。

糖尿病や心疾患の発症にもつながる。

厚生労働省による平成28年の「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる人は約1000万人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると約2000万人にものぼると報告されており、日本の糖尿病患者は増加傾向にあります。

重度の歯周病患者では糖尿病の新規発症リスク、血糖コントロールの指標であるHbA1cの悪化度、糖尿病合併症の頻度が高いことが報告されており、歯周病を治療することでHbA1cが改善することも報告されています。そして、歯周病が糖尿病を悪化させる機序としては、歯周病部位に多く存在する歯周病原菌由来の内毒素によって上昇するTNF-αなどの炎症性サイトカインがインスリン抵抗性を誘導することに起因すると考えられています。

その一方で、血糖コントロールが不良の糖尿病患者では歯周病が多く、その重症度も高く、残存歯も少ない傾向に。このようなことから、歯周病と糖尿病は相互に関係しており、それぞれが一方を誘発する危険因子であると考えられるのです。


全身疾患の危険因子でもある歯周病の影響は、糖尿病だけではありません。歯周病は動脈硬化性冠動脈心血管疾患の発症率を高め、死亡リスクを増加させることも報告されています。そして、動脈硬化病変から歯周病菌のDNAが検出されていることも、歯周病の関与を示唆するものと考えられています。

糖尿病などの生活習慣病から動脈硬化性心血管疾患といった重大疾患まで、歯周病を患うことは新たな疾患の発症リスクを持つことになるのです。だからこそ、プラークコントロールをはじめとする口腔ケアの習慣化は、これからの時代を健康的に生き抜くための最も基礎的な取り組みだと言えます。



※参考文献 日本歯周病学会会誌/2012年 54巻 336-345頁【糖尿病患者における歯周病罹患状態と糖尿病合併症との関係

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