小児の口腔健康増進のための支援方法を考察することを目的として実施した、学童期における口腔清掃状況とデンタルフロスの使用状況についての質問紙調査によると、低学年ではデンタルフロスの使用を「保護者が手伝っている」者と「保護者がすべて行っている」者を合わせた割合が半数以上を示し、多くは保護者が関与していました。一方で、高学年では児童本人が行っている割合が半数以上を示し、児童がデンタルフロスを自立して使用しているという傾向に。学童期の口腔清掃習慣は、学年が上がるに従い徐々に保護者の介助から離れ、自立していく時期と言えます。
調査では、子どもが日常的にデンタルフロスを使用するきっかけは「歯科医療関係者にすすめられたから」が最多でした。また、多くの児童が「定期的にかかっている歯科医院がある」と回答しているにもかかわらず、デンタルフロスの使用は 62.4%が未経験であり、81.6%が現在使用していないという結果に。学童期は今後の口腔衛生習慣に対する意識の構築時期として重要な時期です。保護者が管理する幼少期から低学年ごろまでにフロス使用の習慣が定着できることが望ましく、オーラルケアの指導対象を保護者および家族に対しても行うことが、子どものフロス使用の契機になると考えられます。ハブラシでブラッシングしただけでは、歯と歯の間は十分に磨けないことがあり、プラークや食べかすは気づかないうちに残っています。歯周病や齲蝕の原因は、日々蓄積されるプラークです。だからこそ、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってハブラシでは届かない歯の側面についたプラーク、歯と歯の間に入り込んだ食べかすをキレイに取り除くことが大切なのです。
調査対象:愛知県豊橋市立 M 小学校に通う 1 年生から 6 年生までの児童 298 名とその保護者
※参考文献 小児歯科学雑誌 57(1): 30−36 2019【「学童期における口腔清掃環境とデンタルフロスの使用状況」】