さて、第2回ではそれらの症状を放置した場合の“全身へ及ぼす悪影響”についてお話ししましょう。
皆さんは、千葉県柏市をフィールドとしたコホート研究「大規模長期 縦断追跡健康調査(柏スタディ)」をご存知ですか?
要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象に、全16指標の歯科口腔機能を評価し、その後、最大4年間にわたり追跡調査が行われました。
調査の結果、介護リスクが高まる傾向があるお口の衰え6指標が判明しました。
更に、この6指標のうち、3つ以上で低下がみられる場合を“オーラルフレイル”と定義し、どの指標にも該当しなかった非フレイル(健常者)の人と比較したところ……
オーラルフレイルの該当者は、年齢など多くの要因の影響 を加味しても、身体的フレイルやサルコぺニアの発生、新たに要介護となるリスク、総死亡リスクのいずれもが、なんと約2倍も高まることが明らかになったのです。
些細なお口の衰えはどれか1つではなく、複合的に症状が現れていることが多いです。
どれか1つでも気になる症状がある方はもちろんのこと、まだ症状が現れていない方にも、この結果はぜひ知っていただきたい情報です。
些細なお口のトラブルの放置が、将来の死亡リスクを高める可能性があることを理解いただいたうえで、日頃のお口のケアに意識を向けて適切なケアをしていきましょう。
今回の記事で、“お口の機能低下が全身へ及ぼす悪影響”について、皆さんご理解いただけたでしょうか?
第3回では「お口のトラブルがなぜ全身に?」のテーマで、些細なお口のトラブルがきっかけとなり要介護まで至る経緯を紐解きます。ぜひご覧ください♪