第1回でご紹介したお口のトラブルの1つ1つは些細な症状のため、この段階では日常生活に大きな影響を及ぼす程ではありません。
しかし、「噛めない」「むせる」「食べこぼす」などの状態になると…
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人は自然と食べにくいものを避けるようになる
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そして、やわらかいものを好むようになる
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やわらかいものばかりの食事になると、噛むために必要なお口の筋肉が衰えて更に咀嚼機能が低下する
…という悪循環に陥ります。
これを繰り返すと、口腔機能全体が低下していき、生きていくうえで非常に重要な“食べる”機能の障害へと進行していくのです。
下のイラストは、歯の本数と食べられるものの関係を示した一例です。歯の本数が少ない かつ 適切な歯科治療(補綴物・入れ歯など)をしていない場合、“食べる”機能は十分とは言えませんよね。
イラストの通り、口腔機能状態が悪ければ悪いほど食事には制限がかかり、栄養の偏りが生じます。やわらかく食べやすい炭水化物中心の食事になり、たんぱく質やビタミンなどの摂取量が大きく減少すると言われています。
特に、日常生活のエネルギーや筋肉をつくるたんぱく質摂取量の減少は、サルコペニアへと繋がりオーラルフレイル・フレイルの引き金にもなりかねません。
このようにして、“食べる”機能の衰えが栄養バランスの乱れや低栄養状態を招き、要介護に陥るリスクがグッと高まるというわけです。
最後にお伝えしたいポイントは、オーラルフレイルは適切なアプローチで改善が可能である という点です。
“適切なアプローチ”の内容は、来月のコラムの第4回にてお話しします。
些細なお口のトラブルを見逃さず早い段階で口腔機能の回復に努めることが、要介護状態に至るのを防ぐ近道であることが、ご理解いただけたかと思います。
次回のコラムもお見逃しなく!