サンスターの取り組み

静岡がんセンターとの取り組み

がん患者を対象とした口腔ケア分野で医科歯科連携を促進

静岡がんセンターはどのような病院?がん治療に口腔ケアを先行して導入!

静岡がんセンターは2002年に開設された静岡県の東部に位置するがんの専門病院です。

”「がんを上手に治す」、「患者さんと家族を徹底支援する」、「職員が成長、進化を継続する」”1) の3つの理念のもと、日々多くの医療従事者が多職種チーム医療で患者さんの治療をサポートしています。

2002年の開設時、静岡がんセンターの総長である山口 建先生、当時の歯科口腔外科部長 大田 洋二郎先生、また静岡県歯科医師会会長 大久保 満男先生の「口腔ケアをがん治療の中に導入する必要がある」というお考えのもと、診療科として「歯科口腔外科」を開設しました。静岡がんセンターの歯科口腔外科では、全国に先駆けてがん治療で起こる様々な合併症やトラブルを予防するために、がん患者さんをお口からサポートする診療を行っています。

一方、サンスターは1997年にチャペルヒルシンポジウム(ノースカロライナ州USA)を開催し「口腔と全身:Mouth & Body」に関係する研究討議を行ったことを皮切りに、「糖尿病と歯周病」や「歯周病と心疾患」などの研究に取り組んできました。この流れの中で、「がん治療におけるお口のトラブル」に向き合う静岡がんセンターとの取り組みが始まりました。2006年の協定締結後、サンスターでは2009年に疾患治療に伴う口腔トラブルを持つ患者さんのために「バトラー口腔ケアシリーズ」を発売し、患者さんのお悩みを口腔ケアアイテムの側面からサポートしています。

静岡から全国へ!地域で支えるがん治療

2006年から静岡がんセンターは、がん治療前後も患者さんが安心して地域の歯科医院で受診できる「登録歯科医」の仕組みを作りました。地域の歯科医師会の先生、歯科衛生士の方向けにがん治療に関する講習会を定期的に開催し、地域の先生方のご理解のもと、多くのがん患者さんが治療後も自宅から近い地域の歯科医院でお口の管理を受けています。

2012年には国の医療保険において、これらのがんの治療前後の歯科受診の保険算定が可能となり、全国の患者さんが手術前後のお口のトラブルの予防のために、歯科を受診できるシステムが整えられつつあります。サンスターはこの周術期口腔機能管理を軸に、がん患者さんだけでなく、入院患者さんや全身麻酔での手術を受ける患者さんの口腔ケアを行う事で、術後感染症の予防などに繋げることを目標に、病院での口腔ケア普及に取り組んでいます。

【出典】

ヒポクラテスの誓い(動画)がん口腔ケアのパイオニア

がん口腔ケアのパイオニア大田 洋二郎 歯科医

放送時間 25:25  放送日時2012年7月21日

「医科歯科連携」が全国へ拡大

静岡がんセンターでは、がん治療に伴う口腔合併症の予防と軽減のためのケアの方法を確立させ、静岡県歯科医師会の協力のもと、「地域医科歯科連携」をスタートさせました。がん治療を受ける患者さんへの口腔ケアを適切に行うには、がん専門病院の口腔外科だけでは限界があり、地域の歯科医院の協力が必要だからです。また、がんを治療する病院すべてに歯科があるわけではありません。一方で、従来の歯科治療では対処できない知識や患者さんへの配慮など、歯科医師に不足している情報を共有化する必要が生じました。このような状況をカバーし、がん治療前後の患者さんが最寄りの歯科医院で口腔ケアを受けられるように、大田先生は自ら、静岡県内の開業歯科医、歯科衛生士向けの講習会を開催し、連携歯科医院の輪を広げていきました。これが「静岡がんセンター連携歯科医師」登録の始まりです。このような医科歯科連携の動きは、学会活動などを介し、国立がん研究センターをはじめ、全国にも波及しました。
現在では、この活動や静岡県内での活動が発展し、静岡県で使用していた「静岡県がん連携テキスト」は、日本歯科医師会が主催する「全国共通がん医科歯科連携講習会」のテキストとなり、このテキストを用いた講義を受講し、がん患者さんへのお口のケアや患者さんへの対応について知識を習得した歯科医師が「がん診療連携登録歯科医師」の登録を行っています。登録歯科医師の名簿は、「がん情報サービス」で公開されています。
この活動は、静岡がんセンター歯科口腔外科部長の百合草 健圭志先生に引き継がれ、現在も、がんにおける医科歯科連携体制を活用した歯科支持療法は広がり続けています。詳細は、下記冊子をご参照ください。

【Mouth & Body Topics Vol.2 2015年11月発行「がん医療現場における医科歯科連携“最新情報”」https://jp.sunstar.com/oralcare/useful/mouth_and_body/

がん治療前後の口腔ケアが保険収載

静岡がんセンターの山口 健先生、大田先生が始められた「医科歯科連携」による口腔ケアには、痛みの軽減による治療の完遂(支持療法)、術後肺炎や感染症の予防、口腔合併症の軽減などの多くのメリットがあることから、国の施策「がん対策基本法」にも反映されるようになりました。厚生労働省も口腔ケアによる、「がん支持療法」を重視し、2012年、がんの「周術期口腔機能管理料」が歯科診療報酬に新設されました。
同時に「がん治療はがんを治すだけでなく、がん患者さんの生活を支えなければならない」という医療現場の認識も生まれ、がん治療における支持療法は治療に欠かせない分野へと発展しました。
口腔ケアが保険収載され丸8年が経ちましたが、この間、がんだけでなく脳卒中、整形外科領域などに保険適用が拡大され、歯科医師・歯科衛生士が行う口腔ケアに対して点数の増加が継続して行われてきました。2012年9月には、第2期がん対策推進基本計画に、口腔ケアの意義が明文化されています。このような取り組みもあり、がん治療において歯科も重要な役割を担っていることが、広く認識されるようになってきています。


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